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良い米、良い水、良い風土
昔から「良い水のある所では、良い米が穫れる《と言われるように、水と米は密接な関わりを持ち、この二つが揃ってこそ、良い酒が醸し出されます。
「秀よし《は、その昔、奥羽山脈の湧き水を引いて作った用水が敷地内を流れているため、その伏流水を酒づくりにふんだんに使用でき、また秋田県南部の穀倉地帯、仙北平野の北東部に位置することで、良質の米を手に入れることができました。
また、酒造りは雪の降り積もる頃、最適期を迎えます。降雪により大気中のチリが取り除かれると同時に、酒蔵の中が酒造りに適した温度に保たれる環境は、北国ならでは。そんな中で、もろみは、低温長期にわたってゆっくりと発酵を重ね、旨い酒となっていくのです。 |
| 自家精米 |
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原料米を精米するところから酒造りは始まります。酒米に拘るのはもちろんのこと、如何に精米歩合を高め丁寧に精米するかによって酒質は大きく違ってきます。ご存知の通り米は表面に糠があり、中心にはでんぷん質が多くあります。
酒を綺麗に仕上げるためには、とにかく精白に拘り、「一に精白、二に精白、三にも精白《の信条のもと、米は研かれていきます。
精米の仕方も熟練の腕を要します。負荷をかけすぎると米が熱を持ち割れてしまい、時間をかけすぎても過乾燥によってひび割れが生じます。いずれにしても品質に大きな問題が生じます。米は非常にデリケートでいささかの妥協も許してはくれません。特に吟醸酒においては精米歩合が40%に達するため、昼夜兼行で一週間程かかります。精米係は杜氏の厳しい目に耐えうる見事な米を提供しなければなりません。プロの技の見せ所です。 |
| 和釜の直火炊き |
和釜は造り酒屋の道具や備品の中でも、一際ユニークな形状と豪快な作業を見ることができる個所です。言ってみれば、酒屋仕事の見せ場の一つです。手造りといえば、この工程を外すことはできません。
大きな釜には満々と地下水が張られ、見る者の顔を映す鏡のような水面は、釜に火が入ると一転轟々と蒸気が吹き上がり始めます。甑には、白くきらきらと輝く高精白米が丸く盛り上がり、蒸し上がった酒米は力強い米の香りを発散するのです。釜屋は、一堀り一堀り湯気の中に顔を突っ込むようにして熱い蒸し米を掘り出します。毎朝二時間は続くこの作業は、造り酒屋ならではの光景といえるでしょう。 |
| 手造りの麹 |
昔から「一麹、二酛、三造り《と謂れ、酒造りの中で大切な工程の順番をこのように呼んでいました。当蔵においても「酒造りの要は麹にあり。《と先人より薫陶を受けて参りました。
糖化力や香り、色艶といった麹の微妙な出来具合が、大きく酒質に影響するのです。平易に恒常的によい麹をつくるには、麹屋の技量も大切ですが、安定した感覚を保つための職人としての自己管理が重要になって参ります。健康に留意して食事や体調の管理が必要になるのです。
良い麹は、出麹の間際になると栗香と呼ばれる独特な香りを発します。麹の出来は酒の出来そのもので、麹の行程に妥協は無いのです。杜氏の視線は常に麹に向けられています。
どうしたらより良い麹ができるのか。杜氏と共に酒造家の一番の関心事であります。そのために人は五感をフル稼動させて麹造りに励んできました。麹の作業道具は麹蓋を用い、麹蓋は一升盛りの鉈割の杉柾目を使用。ほぼ丸二日の行程を経て、しっとりと輝く出麹の出来上がりです。 |
| 朱総漆塗り古式槽 |
社長がこの酒槽(さかぶね)を眺める時は、大層愛おしそうな表情を見せます。
酒造道具は、何一つといえでも大切に扱うように指示をするのですが、この酒槽には思い入れが有るのか、特に大事にしています。明治期に造られたのだと思いますが、桂の木に漆を塗ったもので、大きな槽が二台と小型のものが一台向かい合わせになっています。一台は洗朱でもう二台は漆黒になります。子供の頃から見てきましたが、まるで赤鬼と黒鬼が並んでいるようで、怖い感じがしたことを覚えています。
この大きな槽は、小さな酒袋に小分けされた大量のもろみを飲み込み、小さな口からは山吹色の酒がチョロチョロと流れ出てくる仕組みになっています。
この槽の前で幾人の当主や杜氏が、何度となく酒の出来具合を風味したことでしょうか。何十年と経験をしても、その年の初めての酒が良くできていれば、満面の笑顔で安堵したことでしょう。思ったような酒質でなければ、落胆もしたことでしょう。「秀よし《で仕込まれたもろみは、必ずこの場所で酒になるのです。「秀よし《の歴史を見てきた「朱総漆塗り古式槽《は、当蔵の宝です。 |